令和7年12月1日 会報「桐の花」第105号 ―目次― 桐の花第105号発行にあたって・・・・・・・・・・・・・・1 事務局からのお知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 事業所だより・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第20回岩手県視覚障害者福祉大会記念大会・・・・9 第20回福祉大会記念大会を終えて・・・・・・・・・・・・9 大会宣言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 大会決議・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 横断歩道の白線の間隔がほぼ倍に・・・・・・・・・・・・・・16 全国視覚障害青年研修大会報告・・・・・・・・・・・・・・・・17 全国視覚障害女性研修大会参加報告・・・・・・・・・・・・20 視覚障害者の点字触読職員募集中・・・・・・・・・・・・・・27 福祉協会協力金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 編集後記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 編集発行社会福祉法人岩手県視覚障害者福祉協会事務局 責任者及川清隆 住所〒020−0015 盛岡市本町通3丁目6−20岩手県視覚障害者福祉会館内 電話・FAX019−652−7787 電話(2階)019−629−3434 ホームページhttp://www.iwate−sfk.com/ 郵便振替口座02250−4−53987 社会福祉法人岩手県視覚障害者福祉協会 ※この会報は(公財)岩手県福祉基金の助成を受けて発行しております。 私達が目指すもの ○視覚障がい者の自立支援 私達は、視覚障がい者の安全・安心な暮らしを支援すると共に、按摩・マッサージ・指圧、鍼、灸の職業の自立支援を目指します。 ○視覚障がい者本位の生活支援 私達は、視覚障がいがある人の個々の特性を尊重し、求められる日常生活向上の支援を目指します。 ○開かれた経営 私達は、企業的発想を持ち、施設利用者や地域の意見を尊重すると共に情報を開示し、公共的・公益的立場に立った、開かれた経営を目指します。 ○障がい者福祉の一体化活動 私達は、視覚障がい者福祉活動を基本としながら、障がいの種別や程度を越えて、障がい者の仲間と共に障がい者福祉の活動を目指します。 ○地域と共生の福祉活動 私達は、地域と連携しながら共生し、障がい当事者や地域のニーズの実現を図ると共に、掲げた活動理念の実現を目指します。 会報桐の花105号発行にあたって 理事長・会長及川清隆 〜事業譲渡等包括承継が決まる〜 皆様こんにちは、お元気でお過ごしでしょうか。日頃より、当法人へのご支援ご協力に心より御礼申し上げます。 11月9日と10日に第62回東北視覚障害者福祉大会が福島県福島市のホテルグリーンパレスで開催されました。東北の会長の私としては、「福祉大会には何名ぐらい参加してくれるのかな…」と毎年心配しているのです。特にも、本年は物価高騰で仲間のお金の実情は厳しいだろうと想像すると、つい考えて しまうのです。 今回の大会参加者は、150名ほどでした。岩手県からは、代議員3名を含む6名と盲導犬1頭が参加しました。その6名のうち、見える人は弱視者の成田副理事長だけでしたから、手引きにご苦労をかけてしまったと思っています。それにも関わらず、成田優子さんは、一言も「誘導が大変だ」と道中言いませんでし た。大変だったと思います。手引きしていただいたことに本当に頭の下がる思いですし、感謝の気持ちで一杯です。 私は、本当に仲間のことを思いやるということはこうした支えの行動こそ、これからの法人や視福協の牽引者になって行くのだろうと痛感させられた二日間でした。今後は法人や事業所の財源事情にもよりますが職員やボランティアの支援をいただきながら、安全安心した体制で各大会に参加したいと思います。 今回は、3点について下記に記します。 1点目は、当法人に対しての事業譲渡等包括承継が決まった報告です。 事業譲渡等包括承継とは、ある法人が他の法人にこれまで運営している事業を譲渡することをいいます。この件についてですが、当法人と陸前高田市の同行援護事業等を運営しているNPO法人おでかけ支援グループそよ風(熊谷賢一理事長)との間で2か年度に渡り10回の協議を進めております。 結果、両法人の事業譲渡等包括承継の基本合意が整いました。また、9月27日の第3回理事会と10月19日の臨時評議員 会において、事業譲渡等包括承継契約書を取り交わすことへの承認をいただきました。今後は、契約書の締結のための諸準 備を行うとともに、令和8年4月1日から同行援護事業おでかけ支援グループそよ風を継承して行くための事務業務のすり合わ せの協議を進めて行きたいと考えております。 2点目は、会館の改修工事についてです。 会館2階の研修室の所にテラスがあるのですが、地震によるひびがありますし、手すり等の塗装にも劣化があり、防水工事と 塗装工事を施工することとしております。また、会館西側に設置している非常階段も錆がひどいので、塗装工事をすることとしました。 3点目は、第79回全国視覚障害者福祉大会(宮城県・仙台大会)開催についてです。期日は、令和8年6月7日(日)・6月8 日(月)、会場は、仙台市のホテル江陽で開催される予定となっております。東北で開催される全国大会ですので、是非多くの 方の参加ご協力をお願いいたします。 さて、皆さんもご存じのように、晩秋から初冬にかけて、熊が人里に出没して人身被害や果樹園などに被害をもたらしており ます。本年は山のどんぐりなどが大飢饉だそうです。ですから、熊の餌が不足しているわけです。また、人間が山を伐採して、 太陽光ソーラー発電パネルを斜面に設置するなど、熊の住処を脅かしているのも現状です。熊にしてみればおなか一杯にして 冬眠したいのかもしれませんが、エサ不足から冬眠ができないのです。 そういうことから、全盲の私は、一人歩きが怖くてできなくなりました。人身被害に合わないために皆様も是非見える人と一緒 に歩くようにしてください。熊による人身被害が起きない事を願っております。 この会報が届くころは、年末も押し迫っていると思います。インフルエンザが流行していますし、コロナウイルスもジワジワと 感染拡大をしていると聞きます。是非、感染症にはかからないよう、予防をして、元気で年末年始を迎えられることを願っています。 だいぶ早いのですが、良いお年をお迎え下さい。 事務局からのお知らせ 今年の夏は例年にないほどの猛暑に見舞われましたが、10月に入ったあたりから急に寒くなってきて、朝晩の冷え込みも厳 しさを増してきました。インフルエンザもかなり流行しているようです。体調には十分留意し、うがい・手洗いの励行も習慣づけ ましょう。また予防接種もそれなりの効果があるようですので、予防のための一つの選択肢としてもいいのではないかと思います。 まずは年末年始に向かって何かと忙しい時期に入りますが、元気にこの時期を乗り越え、新しい年を迎えたいものです。 12月〜1月の主な行事 12月7日(日)支部長研修会 12月10日(水)虐待防止身体拘束適正化委員会 12月14日(日)キャリアアップセミナー 12月30日(火)から1月3日(土)年末年始休業 1月25日(日)支部長委員会・役員研修会・新年交賀会 事業所だより 1岩手マッサージセンター 当センターはこれまで28年間マッサージ、鍼治療の料金を据え置いてまいりましたが、昨今の急激な物価上昇、それに伴 う利用者の工賃の実質的な減額など様々な事情が重なり、事業所の運営がかなり厳しい状況になってきたことから、9月1日 より料金の値上げを実施しております。1時間のマッサージ料金はこれまで2,800円でしたが、9月1日からは3,200円となりました。 一方、これまで日曜日は鍼の施術をお休みさせていただいておりましたが、現在、基本的に日曜日も含め全日2名体制で鍼 の施術を実施しております。ぜひとも大勢の皆様の御利用をお待ちしております。 9月からの値上げにつきましては御迷惑をおかけしているところですが、今後ともお客様のニーズにお応えできるよう、努力 してまいりますので、これまで以上の御利用をよろしくお願いいたします。 2岩手ガイドヘルパーセンターあゆみ いつも当事業所に御理解と御協力をいただきありがとうございます。 令和7年度11月現在の事業所活動内容をお知らせします。 10月10日(金)盛岡市動物公園ZOOMO内散策イベント 開催 11月14日(金)網張温泉日帰りイベント開催 イベントを通し、御利用者様同士の交流や、初めて会うヘルパーとの交流もあります。コミュニケーションを大切にし、今後の 事業活動に活かしています。よろしくお願い致します。 3日中一時支援事業所「ジャンプの家」報告 日中一時支援事業は盛岡市と滝沢市との委託契約により、地域生活支援事業としてサービスを提供しています。 11月11日(火)に初めての試みとして、福祉協会の公用車を使い、毎週木曜日の日中一時支援参加メンバー4名、職員3 名で、紫波町オガール内産直マルシェ・道の駅石鳥谷・ビオトープ芽吹き屋までドライブも兼ねながら外出をしてきました。道中 はいろいろなおしゃべりに花が咲き、紫波マルシェや道の駅ではそれぞれ買い物を楽しみましたし、道の駅内にある南部杜氏 伝承館も見学してきました。昼食は芽吹き屋レストランでのランチでした。食後のコーヒー、デザートもしっかりと堪能しました。 11月26日(水)は、月1回の交流会メンバーで、道の駅もりおか渋民「たみっと」に出かける予定です。運転手としては、雪 が降らないことを祈っているところです。 今後も皆さんのご要望を聞きながら、よりよい企画を考えていきたいと思っています。(11月12日現在) 第20回岩手県視覚障害者福祉大会 記念大会 令和7年8月3日(日)に盛岡市若園町の盛岡市総合福祉センター4階講堂で、第20回目となる岩手県視覚障害者福祉大 会の記念大会が、来賓・会員100名の参加によって開催されました。 大会式典に続いて、東京ヘレン・ケラー協会点字図書館の小倉芳枝さんに「今さらですが…ご存じですか?歩行訓練」と題す る講演をしていただきました。昼食をはさんで大会議事が行われ、盛会のうちに記念大会を開催することができました。 次に、講演内容の一部紹介を交えた福祉大会の所感と、大会議事で採択された大会宣言・大会決議を掲載します。 第20回福祉大会記念大会を終えて 岩手ガイドヘルパーセンターあゆみ 佐藤栄子 今年も猛暑の中、第20回福祉大会記念大会が開催され、各支部から沢山の参加をいただき、心より感謝申し上げます。 大会の中で講演された小倉芳枝さんは歩行訓練士の立場から、実際の白杖歩行訓練の事例をふまえて話をされました。 その中でBさんという方の話がありました。Bさんは、60代女性、幼い頃から緑内障による視覚障害があり、眼科の先生か ら白杖を進められていたが使用する決心がつかず、5年間タンスの中にほったらかしにしていたとのこと。 ですが、娘さんの結婚を機に自身の白杖訓練を始めることにし、基本的な歩き方、階段歩行など訓練を重ね、職場から自宅 まで白杖で歩けるようになったとのこと。白杖を使用する前までは、通勤が非常に大変で、帰ると夕飯の準備も出来ないくらい に疲れ切っていたようですが、白杖歩行が出来るようになってからは夕飯の支度がスムーズに出来るぐらいの気持ちのゆとり ができたとのことでした。 その後はさらに訓練を重ね、美容院に通えるようになったり、買い物に出かけられるようにもなり、日常生活は困らないように なったとのこと。彼女は、「白杖は私にとって魔法の杖です。これがあれば怖くないし、周りの人達も助けてくれる。」と話をされ ているとのことでした。 小倉さんも、「白杖を持つことに踏ん切りがつかない方は多くいますが、訓練を受ければ、もっと早く使えば良かったとなる。 外出できるようになることでメリットは非常に多い。」と話をされていました。 私達もガイドヘルパーとして一緒に外出をしていますが、外出することをとても楽しみにして、大切な時間にされている方々 が多いと感じています。 この講演でもあったように外出することで、社会が変わることも沢山あると思います。これからも、視覚障害者が外出すること の大切さへの理解が広まっていくことを願います。 また、講演いただいた小倉さんは、現在は東京ヘレン・ケラー協会にお勤めをされているとのこと。ヘレン・ケラー女史は岩手 県立盛岡視覚支援学校ともゆかりがあり、1937年(昭和12年)に岩手県立盲唖学校を訪問されています。その際に植樹さ れたドイツトウヒの木の側には記念碑があり、「目が見えなくても、耳が聞こえなくても心の目があいて居り、心の耳が聞こえる ならば不自由なことはない。私達は決心さえつけば、やれぬことはない、しかし一人では不可ない、互ひに共力して手を握りあ って幸福になりなさい」と記されてあります。 まさしく、この福祉大会も互いに協力しあい、結束を深め、みんなが幸福になるようにと行われている大会です。そして私たち は次の世代へと受け継いでいくことが、今すべき大切な役割なのだと改めて感じました。 大会宣言 はじめに本年2月に発生した大船渡市の山林火災で被害に遭われた多くの皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、1 日も早い日常の回復を心より祈念申し上げます。 本日、ここに岩手県内の会員と関係者が一堂に集い第20回岩手県視覚障害者福祉大会記念大会を開催できますことは、 私たちにとってたいへん大きな意義を持つものです。また、大会運営のためにご尽力いただきました役職員の皆様や、ガイドヘ ルパーの皆様に心より御礼申し上げます。 2025年は、フランスのルイ・ブライユが点字を考案して200周年を迎えます。私たちは、点字という素晴らしい文字に出会っ て自立することができました。そうした点字文化と歴史を次の世代へ継承していかなければなりません。点字文化を次世代に継 承することによって、教育を受ける権利が堅持され、触読での情報確認が確かなものになるからです。 日本は、現在超高齢化社会の中にあります。そうした現状にあって、高齢視覚障害者が県内に1か所しかない養護盲老人 ホームへの入所を希望しているにも関わらず、経済的条件を理由に、入所が認められない事例が発生しています。この問題 は、全国各地で起きています。健常者も障害者も誰もがやがて高齢者となります。現在の措置制度だけではなく、契約入所を 含め、時代にあった基準の緩和を求めていかなければなりません。 一方で私たちの生活環境は障害特性から、外出が非常に困難です。外出支援者であるガイドヘルパーの人材不足、公共交 通機関の脆弱化、店内でのタッチパネルによるキャッシュレス決済などはその一部の例です。私たちは、生活の豊かさを求め て、外出保障を求めていかなければなりません。 本日ここにお集まりの皆様と、私たちを取り巻く諸問題について討議を深めて参りました。私たちの日々の生活向上のために はまだまだ課題が山積しています。そうした諸課題の解決に向けて、共に団結して活動していくことをここに宣言いたします。 令和7年8月3日 第20回岩手県視覚障害者福祉大会記念大会 大会決議 一、市町村役場からのすべての郵送物に視覚障害者がわかるよう点字と拡大文字の表記を要望する。 一、本年4月に改正された同行援護従業者養成研修カリキュラムの周知徹底を図ること、また同行援護事業所および従業 者の確保と地域格差なく個人のニーズにあった支給量が得られるよう要望する。 一、県内の視覚支援学校や情報提供施設等、関係施設に歩行訓練士を置き、中途失明者が歩行訓練が受けられる環境 を整えるよう要望する。 一、弱視者(ロービジョン)が安全に移動できるよう、公共施設および駅や商業施設などの点字ブロックは黄色にし、階段の 段鼻(だんばな)には滑り止めを付けるよう要望する。 一、内丸メディカルセンターが矢巾の附属病院へ移転、統合されることに伴い、盛岡駅と矢巾医大病院、矢巾駅と同病院間 の路線バスの増便を要望する。 一、スーパーやコンビニなどのセルフレジは視覚障害者単独での操作が困難なため、サポートのための店員を配置するこ と。また従来の店員対応の有人レジを残すよう要望する。 一、無人化された鉄道駅においても事前の連絡によって人的サポートが受けられる仕組みを確立し、視覚障害者が安心し て外出できる体制を整備することを要望する。 一、日常生活用具の給付品目について現状に即した基準額や耐用年数の設定および、ニーズにあった品目の見直しを 要望する。 一、各種災害に備え、視覚障害者も利用できる耳で聴くハザードマップの導入、個別避難計画の策定、配慮された避難所 の整備を要望する。 以上、決議する。 令和7年8月3日 第20回岩手県視覚障害者福祉大会記念大会 横断歩道の白線の間隔がほぼ倍に 理事成田優子 10月30日(木曜日)、盛岡駅西口デッキのマリオスとアイーナの間の横断歩道の白線の間隔がこれまでの45セ ンチから90センチ間隔に変更されたことを受けて、弱視の立場から現場視察に行ってきました。 この横断歩道には会員から「エスコートゾーンを設置してほしい」という要望があり、福祉大会決議として県に提出 したところ岩手県警の交通課の担当者より連絡があり、白線の間隔を広げる横断歩道には音響式信号機とエスコート ゾーン両方の設置が条件ということでこの度のエスコートゾーン敷設につながりました。 実際に横断歩道を渡ってみた感想は、白線の間隔が広がったことよりも耳で音響信号の音を聞きながら、足元はエ スコートゾーンを確認しながらまっすぐ反対側に渡れることが安心でした。 ちなみに県内で白線の間隔が広がった横断歩道は初めてということでした。県警の方に「今後の予定は?」と伺った ところ「いまのところ次の予定はありません」とのことでした。 みなさんも視聴覚障がい者情報センターへおでかけの際などにぜひ渡ってみてそれぞれの見え方の立場から感想な どをお聞かせください。 当日は、民放テレビ局各社・岩手日報・朝日新聞などから取材を受け、その日の夕方にはニュースとなり驚くほど多 くのみなさんから声をかけていただきました。 実現には時間がかかるかもしれませんが私たちの外出がより安心で快適なものになるために引き続き行政や関係機 関へ私たちの声を届けていきましょう。 全国視覚障害青年研修大会報告 理事日野沢ひなわ 9月14日、15日に愛知県豊橋市で開催された第71回全国視覚障害青年研修大会に青年協議会常任委員として参加して まいりました。今年は第31代青年協議会会長選挙が実施され、引き続き福島県の鈴木祐花さんが来年度からの2年間の 会長となりました。鈴木会長の方針として、「組織拡大」、「効果的な情報発信」、「持続可能な組織運営」を掲げられました。令 和の青年層の働き方と生活に合った活動、情報発信、組織運営を目指し、日視連としても加盟団体としても次の世代がしっか りと育っていくような形を目指していきます。 1日目の午後の研修では豊橋の歴史に触れる市内散策を行いました。豊橋が豊橋と名を変える前は「吉田」という地名であ り、落語や講談にも「吉田の宿(しゅく)」という名前で頻出する東海道の主要な宿場町でした。大会期間中に取った昼食にも 「吉田定食」と銘打たれ、菜飯に豆腐田楽という組み合わせで昔から食されていたそうです。豆腐田楽に合わせて小鉢にはお から、味噌汁もお豆腐と、味噌と豆腐の食文化が特に深いように感じられました。 また豊橋は450年以上続く手筒花火でも有名です。直径10cm、長さ80cmほどの孟宗竹に麻縄を巻きつけ、中に3sもの 火薬を詰めて打ち上げる壮大な花火です。10m以上の火柱を噴き上げる花火を打ち手が抱えて上げるという迫力をその場で 体感、はさすがにできませんでしたが、打ち上げた後の空の筒を見させていただきました。長く、中で火薬が燃えても大丈夫な ような厚い竹筒ですのでかなりの重量です。ここから大火が噴き出すと思うと、打ち手はどれほど気を使うだろうかと驚愕しま した。 2日目は全国視覚障害者結婚相談所より内山亜希様を講師としてお迎えし、「『見えない』『見えにくい』からこそ大切にした い、好印象と人との境界線」というテーマで研修を行いました。 社会福祉と結婚相談所という異色の経歴を基に全国での視覚障害者の婚活をサポートされている内山様より、身だしなみや マナー、コミュニケーションの取り方や心構え、ついつい近くなってしまいがちな人との適切な距離間の取り方についてお伺いし ました。 平成から令和になり、いよいよ結婚というのは当たり前ではなくなってきており、その難しさは複雑を極めています。事前の 講演内容の打ち合わせから参加させていただき、令和の青年層らしい内容での研修を実施することができました。終了後の 会場では「時代に合った講演だった」、「今までで一番深かった」など、参加者から好評の声が上がっていました。講演の様子は 日本視覚障害者団体連合青年協議会のYouTubeチャンネルで閲覧いただけます。 来年の第72回大会は広島での開催を予定しています。実は2020年の青年研修大会も広島での開催が予定されていまし たが、コロナ禍によって中止となった経緯があります。そのことから広島の方にはリベンジとして青年研修大会の開催を引き受 けていただいております。まだ時折コロナウイルスの名前を耳にすることもありますが、この大会でいよいよコロナ禍を克服し たという形になるでしょう。 全国視覚障害女性研修大会参加報告 評議員千葉和也 第71回全国視覚障害女性研修大会(東海・北信越ブロック新潟大会)に参加しました。開催日は2025年9月3日、4日の 二日間で、会場は信濃川がすぐ近くを流れる新潟ユニゾンプラザ。岩手からは13名(うち男性5名)が大会前後泊の3泊4日で 参加してきました。 新幹線で金属加工の町燕三条駅に着き、観光バスで移動(駅内に大型フォークとナイフが展示されている)。チャーターし た観光バスのガイドさんの軽快なおしゃべり、きれいな歌声。美空ひばりさんの声に似て多様な佐渡情話の語りにはどんどん 引き込まれていって、不幸に陥っていく結果はどうなるのかなと思っていましたが、ハッピーエンドで終わり、面白い物語だと感 じ入りました。 日本海に面して走る高速道路みたいなバイパスは、日本一交通量の多い道路とかで、風景は広い田んぼ、海、山があり、 注意を促す看板は「農耕車注意」。さすが、米どころ。日本海沖37キロ先には佐渡島が見えるそうです。新潟の特産品は 「米」、「日本酒」、「えだ豆」、「せんべい」。「えだまめ」は生産面積で日本一ですが、生産量は7位。新潟を流れる日本一長い信 濃川、長野県を流れる千曲川が新潟に入ると信濃川になるそうです。信濃川に架かる3代目「萬代橋」は1929年(昭和4年)8 月23日に架橋されていて長さは306メートルだそうで、国の重要文化財になっているそうです。毎年、架橋された日を誕生日 として、お祝いしているそうです。2025年は9月6日でした。 その日の昼食は、日本海に面した水産市場のある長岡市寺泊(てらどまり)の食堂で魚料理を食べました。カレイ、赤魚など 魚介類などの定食、おいしかったけど骨を取るのが大変でした。その後は、創建2400年以上の弥彦山神社の拝観へ。 ちょっとハプニング。駐車場には観光の車が一台もない。工事用トラックが走っている。もしかして今日はお休み?確かに休 みだったけど予約を入れていたので、スタッフが私たちのためだけに対応してくれました。834メートルの弥彦山にはロープウ ェイで登りました。日本海、越後平野も眺望できたとか。参拝のため、ロープウェイで下り、神社に。拝礼はほかと違って二礼四 拍一礼(古来から引き継いでいるそうです)。ご参拝後、お店でみんなアイスクリームを食べる。有名なのは「もも太郎アイス」。 氷のアイスで味はイチゴシロップ味。堅そうなので食べませんでした。 研修大会は3日午後からでしたので、役員以外は午前中「せんべい王国」でせんべいの手焼き体験を行いました。炭火をお こした網の上にせんべい生地を置き、何度もひっくり返して黄金色になったらできあがり。やたら、炭火の熱で頬が熱くて大変で したが、自分で焼いたせんべいに醤油だれをつけてもらい、口にほおばり満足でした(見えないのでサポートしてもらいました)。 その後、大会会場に移動して「おにぎり弁当」の昼食でした。 とってもお米がおいしい。これって冷めてもおいしいので、「コシヒカリ」かなと思いました。その後は女性研修大会に突入。夜の 懇親会では、県ごとのテーブル。県ごとに研修大会初日の感想を発言ということで指名され、いきなりなので戸惑いながらもな んとかお話をしました。男性が発言したのは岩手だけだったかも。アトラクションは全盲のギター奏者。会場がにぎやかで聞こ えなかったかも。 4日午前は大会。つつがなく終了して(予定より早く終了)バス出発まで時間があったので、会場そばの信濃川の遊歩道を 岩手参加のみなさんと散歩。遊歩道脇には、芝生と木々、パイプラインがあり、川のせせらぎを聞きながら歩きました。頭の上 の方からは鉄橋を走る電車の音がして、大きな川を渡る鉄橋と電車が宙に浮いている姿を想像しました。 ホテル日航新潟で昼食。ここは高層ホテルで、最上階の31階展望室でお弁当を食べました。エレベーターはとても静かで 早い。あっという間に到着です。日本海、佐渡島、新潟市街を一望する大パノラマは目が見えていたら素晴らしかったかなと思 いました。お土産売り場のそばには何故かヤマハのバイクが展示。せんべいの「ばかうけ」も売ってました。 その後は今代司(いまよつかさ)酒造の見学。創業してから260年余で純米酒が売りのお店。酒蔵に入ると昔の木桶(高さ は2メートル以上のもの)が手前にあり、次には金属製の桶が居並ぶ。創業当時の手彫りの看板、一升瓶ならず一斗瓶?な どをさわらせてもらいました。見学後は試飲。はずれなしの酒ガチャがあり、みんなで楽しみました。もちろん商品はお酒。非売 品のオリジナルのお酒とか。子供に戻った賑わいでした。 その後は宿泊先の月岡温泉へ。老舗旅館のホテル泉慶に。ホテル到着後みんなで「自称日本一まずい水」に。温泉発祥の 地で湧き出る源泉。そこには石碑と飲泉水があり、代わる代わるに備え付けのコップで水を飲みました。硫黄の匂いが強く、と ろりとしたお湯で、飲むのに苦はなかったですが、その名の通りまずかったです。ホテルのお部屋は広く、部屋に備え付けのお 風呂もユニットバスではなく、それよりも大きなお風呂がありました。広い温泉で、大浴場、露天風呂を楽しむことができました。 露天風呂のほうが硫黄の匂いが強かったようです。 その夜は豪華な食事。いろいろな食材を楽しみ、夕食を堪能できました。朝はバイキングで多種多様。いっぱい取り皿にもら い、普段の朝食の3倍以上食べたかも。食事中にいきなり「杵と臼の餅つき」が始まり、リズムの良い餅をつく音。つきたての餅 は会場の皆さんに振る舞われました。 最終日は、「北方文化博物館」の見学。戦前、新潟の豪農であった伊藤家の建物に入り、豪華さに驚きました。戦前の保有 農地は東京ドーム300個分で1,350ヘクタールだったそうです。大広間は100畳で、日本庭園が見渡せます。日本庭園の 大きな石は不思議な力を持っていると言われ、パワースポットになっているとの話。敷地は8,800坪で建物は1,200坪で、 2,400枚の畳が敷かれている状態ですが、100畳の部屋が24室あると想像すればわかりやすいかも。とてつもなく広い家で した。当時の銘木や大工職人の技術の粋を極めた造りと思いました。邸外には茶室があるのですが、とても珍しい正三角形の 茶室。全国では数カ所しか無いとか。内部には入れなかったので周囲をグルリと散策。庭の池には錦鯉。中庭には、藤の大木 があり、生え出た枝は中庭を覆い尽くす状態。一時期、枝が折れて藤の花もつけない状態だったそうですが、復活して藤の花 を咲かせるようになったとかで、鬼滅の刃をもじり、不滅の藤としてPRしたそうです。とにかくスケールがでかすぎて想像力が 働かない状況でした。 その後に、そこに行けば新潟県のお土産がすべて買えるという「新潟ふるさと村」へ。結局、初日にせんべいをいっぱい買っ たのに再度せんべいを買ってしまいました。あとは新幹線に乗車し、家路へ。視覚障害者といってもロービジョンから全盲もあ りで、今回の研修大会で全盲の私は岩手の参加者の皆さんに大変お世話になったことと、小池さんにお世話になったことに大 変感謝しています。大会は素晴らしかったと思いますし、観光も楽しませてもらいました。ありがとうございました。来年は神戸 市で開催されます。この二日間の大会に参加して、女性ならではのきめ細やかさとそれに加えてパワフルさを感じたところでし た。参考すべき点が多くあり、今後の糧にしたいと思います。 視覚障害者の点字触読職員を募集中 視聴覚障がい者情報センターで点字校正員を募集中です! 点字校正員は、皆さんもご存じのように、点字図書館が盲学校敷地内にあった昭和45年から、視覚障害の当事者が、点訳 された図書の校正作業を触読で行ってきて、初代は視福協の会長も務めた菅野長治先生が担当しました。 アイーナの4階にある岩手県立視聴覚障がい者情報センターの点字図書館部門でも、業務内容を徐々に増やしながら継 続してきましたが、今年4月から視覚障害当事者の職員が不在となり、現在、点字の触読ができる視覚障害者の職員を募集し ています。 点字図書の触読校正やJBニュースを含む各種点字資料の作成と印刷、点訳ボランティアの養成などを行うことが仕事内容 で、年齢や学歴・経験は不問となっていますが、65歳が定年年齢となっているそうです。 「勤務条件などの詳細は、視聴覚障がい者情報センター(電話019−606−1743)にお問い合わせ願います」ということ ですので、皆さんの知り合いの方にも声がけしてみてください。 「点字で仕事ができる」とっても良い職場ですよ! 福祉協会協力金ご芳名(敬称略。入金順) 令和7年7月〜10月までの協力者です。 [協力金] 佐々木翼1万円 心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。 編集後記 暑い夏が過ぎて、熊騒動の中で、寒い冬に向かっています。 会報105号をお届けします。今号は、岩手県福祉大会・全国青年研修大会・全国女性研修大会など「報告」が中心になりまし た。参加された方が、いろいろな視点で「報告」内容を記述されていますので、趣のある掲載内容になりました。来年の大会で もバラエティーに富んだ「報告」が寄せられることを楽しみにしています。 次号は2月ごろの発行予定となりますが、穏やかな新年を迎えられますよう、祈念いたします。それでは、また…。 (編集委員:横澤忠・及川清隆・中田一洋・成田優子) ※音声デイジー版の録音は盛内優子さんに担当していただいているものです。